2020.05.22
ロケーションだより 2020年5月16日

 今回は、昨今の全国的な撮影やFC活動の現状について、

 特定非営利活動法人ジャパン・フィルムコミッション事務局長の関根留理子さんから特別にご寄稿いただきました。

 

 「新型コロナウイルスの影響とFC活動について」

 

 予期せぬ、新型コロナウイルスの世界的な流行により、エンターテインメント業界も大きな煽りを受けております。現在、ほとんどの映画やドラマ等のテレビ番組も撮影をストップしており、必死に感染拡大を抑えようとしております。

 

 日本の場合は、多くの映像制作会社が首都圏に集中していることから、流行が見え出した1月末頃は、地方での撮影を検討する撮影隊も少なくありませんでした。

 

 しかし、2月下旬には、まずは多くの海外からの撮影隊が撤退していき、3月には国内映画の制作や公開が延期や中止となり、テレビドラマも放送延期を決定する局が増え、そして4月の緊急事態宣言が発令されてからは、ほとんどの作品が中止や延期を余儀なくされています。

 

 そんな中、各地域のフィルムコミッション(FC)でも、対応に頭を悩ませているところが多かったです。特に、近年、医療ものや学園ものの作品が多い中、病院や学校での撮影は真っ先にNGになりましたので、それらの作品が多い連続ドラマでは、放送日も決まっているため、何とか協力してもらえるロケ地を探すのに苦労していました。また、多くのFCが協力しているエキストラ募集に関しても、人を集める行為は規制されているところが多かったため、制作者からの問い合わせにどう対応していいか、JFCにも多くの相談が寄せられました。

 

 JFCでは1月には制作者向けにホームページや公式SNSで、撮影受入れが難しいロケ地が増えているため、早めにFCに相談をしてほしいと発信いたしましたが、実際は、地域(担当者)によって対応はまちまちであり、なかなか指針として発信するのは難しいものがありました。ウイルスの感染者が多い地域では、早くから撮影隊の受け入れは難しいと発信しているところもありましたが、逆に、感染者が少なく、普段撮影が少ない地域や、普段から無理な相談にも協力しているFCは、困っている撮影隊をサポートしたいとギリギリまで対応をしているところもありました。

 

 しかし、FCの大きな役割の一つは地域を守ること。撮影隊は、数十人、多いと100名近い人数で移動し、いわゆる三密を回避することは非常に困難です。どれだけ気を付けていても、目に見えないウイルスを完全に排除することは難しく、そのせいでせっかく協力してくれた地域の方に感染したりすると、地域のためにしてきた活動が水の泡となってしまいます。

 

 今を日本中が一丸となって乗り越えられれば、必ずまた笑顔で活動できると信じて、大好きな地域のために、先を見据えた行動をみんなで取れたらいいと思います。

 

 

人のいない武家屋敷通りに満開の枝垂れ桜

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